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ある魔術師の野望-その1



時計塔からカルデアに名だたる魔術師達が視察に来た.彼らにとって空白の1年間を調べるのが目的だろうしカルデアの技術をどう取り扱うか…などといった時計塔における財閥同士の政治的な戦いがあるのだろう.
もちろん,そういったことを考慮したダヴィンチはカルデア職員達にマスターである藤丸立香とマシュ・キリエライトの両名に他の魔術師を近づかせないなど様々な命令を下していた.
世界を救った少年少女を守ろうとカルデア内ではできる限り立春達の傍に居て,立香達が時計塔の…外の世界の人間同士の争いから遠ざけようとしたのである.





魔術師達が来て数日が経った日の事である.連日のように質問攻めにあったマシュは疲れた様子で自室へと向かっていた.
そんな様子のマシュはカルデア制服を着た女性職員に声をかけられた.

「大丈夫?キリエライトさん」
「は,はい…ちょっと疲れましたが大丈夫です」
「時計塔から来た人達もこんな若い子相手に何度も怒鳴るなんてねぇ……疲れているようだしお茶でもしない?ちょうど甘いお菓子もさっき手に入ったから」
「お茶ですか…では,お言葉に甘えて」


数時間後,マシュの部屋のベットの上でマシュはゆっくりと目を覚ました.

『あ,あれ?寝ていました…?』

まるで霧がかかったように思考がまとまらないマシュは先ほどまでの出来事を思い出そうとする.

『確か……あの方にお茶に誘われて……そこで私の部屋でケーキと紅茶を食べていたら…』

ふらふらと身体を起こしたマシュはまだはっきりとしない頭で周囲を見渡す.
薄暗い部屋には自分以外にもう1人,こちらに背を向ける人物が居た.

「だ,誰ですか…?」
「ようやく起きたか…おはようマシュ・キリエライト」

マシュの声に振り返った男…ローブを身に纏った魔術師はにやにやと笑っている.
その男の顔を見たマシュは先日から来所している魔術師達の顔を照らし合わせるが誰とも違う.痩せすぎでも太ってもいない,どこにでいる様な平凡な顔立ちの男は困惑するマシュの様子を愉快そうに見ている.

「な,なぜ私の部屋に…そもそもこの部屋に入れるのはカルデア職員でないと扉があかないはずなのに」
「なーに言ってるんだマシュちゃん……君が扉を開けてくれたんじゃないか」
「えっ?」
「一緒にお茶をしようって君の部屋でおしゃべりしたし,君は出されたケーキを実に美味しそうに食べていたねぇ.薬が入っているのにパクパクと美味しい美味しいって笑顔でお礼を言ってくれて,俺としてもそんなに感謝されると悪い気はしないね」

マシュはその言葉に先ほどのお茶会の事を思い出す,確かに自分は女性職員と一緒にお茶をしたが……目の前の男はこの部屋のどこにも居なかったはずである.

「あ,あの人を!私と一緒に居た人をどうしたのですか!!」
「おー怖い怖い.まぁ待ってな直ぐに連れてきてやるよ」

殺気を込めた眼でにらむマシュをへらへらと笑う男は右腕をローブから出すとそのまま顔に右手を当てる.
右腕に刻まれた魔術刻印が光をともし魔術が行使される.

「…え!?」
「ふふ,心配してくれてありがとうキリエライトさん.安心して私はここに居るからね」

右手が除けられるとそこには男の顔は無く,女――さきほど出会ったカルデア職員の女性の顔があった.

「あ,あなたは?!」
「くっくくく,キリエライトさんったら見知った顔だからって油断しちゃって……こうやって薬を盛られちゃうのよ」

固まるマシュを女性の顔で笑う男は右手を再び顔にかざし,元の男の顔へと戻す.

「まぁネタ晴らしはこんな感じだな.どうだ?納得いったか?」
「私を捕まえてどうする気ですか…?」

「くくく,人理を救ったマスター…マシュちゃんもよく知る藤丸立香君だったか.魔術回路も才能も無い彼がどうやって人理を救ったのかは気になるが…彼と会話をしようとしても必ずカルデアの職員が傍についている」
「………」
「君もあのダヴィンチに聞いているだろ?これから来る時計塔の魔術師達がこのカルデアの利権を求めているって事を.もちろん藤丸君が使役している使い魔…サーヴァントの力もな」

英霊の座から召喚される最上級の使い魔であるサーヴァント.様々な時代,物語から召喚された彼らはカルデアのマスターである立香と契約を交わしている.その証は立香の右手の甲に令呪として表れている.

「才能の無い彼より才能のある魔術師が使い魔を管理するのに相応しいと思わないか?」
「あなたのような人に…英霊の皆さんが従おうなんて思いません!」
「確かに無理やり彼の令呪を奪おうと近づいただけで警戒され,奪えば直ぐに俺は殺されるだろうな……しかしこういった考えはどうだろう?他の誰にも警戒されない存在ならどうだろうか?カルデアにおいて藤丸立香の傍に居てもおかしくない人物……そう君だよ,マシュ・キリエライト」
「わ,私はあなたに協力なんてしません!」
「まぁ,素直に協力してくれるとは思わないさ.必要なのは君の立場だよ.藤丸立香の後輩であり親しい存在である君のね」

身体が痺れ力の入らないマシュの視線を気持ちよさそうに浴びる男はにやりと笑うとローブの裾を捲り右腕を露わにする.
魔力が籠められ光を発する魔術刻印が浮かび上がっている.

「先ほども見せたが…もしかしてあれで終わりだと思ったか?.こうすると………どうだ?どこかで見たことないか?」

男が右腕を顔に当てるとぐにゅりと,男の顔が変わっていく.
ごつごつとした男の顔はまるで粘土を弄るかのように顔の皮膚,筋肉,骨格,髪の毛を変えていく.

ほんの少しの間に男の頭部はマシュの頭部へと変わっていた.がっしりとした男の身体の上に少女の…マシュの顔が乗っているのは非常にアンバランスな光景だ.
勿論そんな光景を見たマシュは言葉も出ないまま目を見開いている.
そんなマシュの様子を愉快そうに見た男はマシュの顔で笑う.

「わ,私…」
「どうだい,似ているもんだろ?――おっと,この身体だと違和感あるか?マシュちゃんは今まで成ってきた中で上位に入る身体をしているからなぁ」

にたりとマシュの顔で笑った男は服の上から身体を撫でていく.
男はローブを着ているため,マシュからは分からないが段々と男の身体は小さくなり,ローブから出ている腕を最後に撫でるとごつごつとした男の腕からほっそりとした白い腕へと変わっていった.

一回りも小さくなったためかぶかぶかな服はするりと脱げ,マシュの目の前にはマシュと同じ姿へと変化した裸の男――マシュ・キリエライトが立っていた.

「これで…よしっと」

つぶやく声もマシュと同じものであり,まるで録音した自分の声を聞いているかの様にマシュは感じた.

「そ,そんな…」
「どうだ?鏡でよく見る姿だろう?んんー,やっぱりこんなに大きな乳はぶるぶると揺れるな.それに感度も…んっんん…んあっ!」

情欲に満ちた表情を浮かべたマシュはぐにぐにと胸を揉みしだく.まるで自分の胸を触られているかの様に感じたマシュは思わず目を背けてしまった.

「ふふふ,君の大好きな先輩も夜な夜なこの胸をおかずにオナニーをしているさ」
「せ,先輩はそんなことをしません!」
「彼も大変だねぇ,こんな淫乱な身体をした少女と一緒に居て手を出せないって…同じ男として同情するね.」

のっぺりとした股間を弄りながらマシュは目を背ける本物をため息交じりに見る.
どうやらこの少女は先輩に清廉潔白といった憧れを抱いているのだろうか.

「さて,身体は君と同じになった.次は服装だが………こんなぶかぶかの服だと先輩も流石に目の前の後輩が偽者だと気づいてしまうかもしれませんね.先輩なら私が何を着ていても似合っているって言ってくれると思いますけど……そんなリスクを負う意味もないしな.そうですね…本物の私が着ている服を剥ぐのも面白そうですが…」

男口調でしゃべっていたマシュは,にっこりと笑うと普段のマシュと同じ口調,雰囲気で喋り始める.
本物のマシュの視線を無視しながらペタペタと素足で部屋の中を我が物顔で歩きクローゼットの前へ移動した.
歩くたびにふるんっと震える胸に心地よい振動を感じ満足感を感じながら.

「ふふ,年頃の少女だと可愛らしい下着だね.もう少し色気のある下着も似合うと思うがねぇ……まぁ,藤丸君なら何でも似合うとは言ってくれると思うよ.」

下着を選んだマシュは手慣れた動作で身に着けていく.当然,マシュと同じ身体になった男にはぴったりと合うサイズだった.

「ふむ,我ながら可愛らしいな.どうですか?似合っています?」
「………」

清楚な白い下着を見に纏いポーズを取るマシュはにやにやと笑い,返事を待たずに次に黒いパンティストッキングを手に取りするすると履いていく.
ほっそりとした白い脚,適度に肉の付いた太腿をストッキングで覆っていく.
すべすべとしたストッキングの感触と柔らかな太ももの感触を楽しんだマシュはクローゼットの中にあった制服を手に取った.

ノースリーブの黒いシャツに黒いスカートを着込み,首元を赤いネクタイで整える.
どこか手慣れた動作で着替え終わると,本物の前には双子と思える様なそっくりの少女たちの姿が部屋にあった.

可愛らしい顔,服を盛り上げる豊かな胸,引き締まった脚はどちらも同じであり,唯一の違いは本物がかけている眼鏡の存在だった.

「あとは…君から眼鏡を借りるだけだ…残念だけどここからは君にはそこのクローゼットの中に居てもらうよ」
「…先輩なら」
「ん?」
「先輩ならあなたが偽者だとすぐに気付きます…!」
「くくく,愛しの先輩が可愛い後輩とちゃんと強い信頼関係を築けてあるか……私,マシュ・キリエライトが確認してますね!」

嘲笑交じりに真面目な口調で宣言したマシュは本物が暴れられない様に魔術で拘束し,声を出せないようにするとクローゼットの中へ閉じ込めた.

「これで先輩の後輩は私だけですね…それでは早速先輩のお部屋に行ってみますか」


本物から奪った靴を履き部屋を出ていったマシュはカルデアの廊下を歩いていく.
道中,何人かのカルデア職員達とすれ違うが誰も目の前のマシュを偽者と気付くことはなかった.
むしろ,時計塔から魔術師達が来ているため気を付ける様にと心配をかける始末である.
勿論,本物がするであろう対応をしつつカルデア職員と離れたマシュは先ほどまで浮かべていた真面目な表情を歪める.

『くくく,もう手遅れだっていうのに呑気な奴らだな』

心の中でその様な事を思いつつ目的の場所の前へと着いた.
扉の傍には誰も居ない様に見えるが廊下にしかけてある監視カメラで見られているだろう.
監視カメラにしっかりとその姿が映っていても警戒することなく,これを見ている人間が居ても今のマシュを見て偽者だと思うことはないだろう.

制服を着て,可愛らしい顔立ちに眼鏡をかけ,ふっくらと服を盛り上げる豊かな乳房の膨らみ,そしてスカートの下,ストッキングとショーツに包まれたアソコまで完璧にマシュ・キリエライトなのだから.

「ふふ,あっけないものだな……さて,――先輩?ちょっとよろしいですか?」

ポツリと小声で呟いたマシュは扉をノックすると中に居る人物へ声をかける.
中に居る人物,藤丸立香は聞こえる声が後輩だと分かると扉をゆっくりと開けた.

「あれ?どうしたのマシュ?」
「すみません先輩…ちょっと先輩に用事がありまして…」
「とりあえず中に入ろうか」
「は,はい失礼します」

普段と変わらないマシュの姿に気を緩めた立香は自分の後輩を部屋へと招き入れる.
そんな立香にマシュの顔でにっこりと笑ってやる.その笑顔の裏にある黒い物を立香は気づくことはなかった.





カストル・ライクロイクは魔術師としては五代目と歴史の浅い家系の当主である.時計塔においても扱いは酷く周囲からは落ちこぼれの家系であると言われている.
そんな状況においてカストルは一つの魔術を作り出した.それは他人の一部を吸収し自身の物へとする魔術である.

魔術師において遺伝子…魔術刻印を受け継ぐ子供の存在は非常に重視される.名門魔術師の家系ではそれぞれが優秀な魔術師同士が子を成し,より優れた資質を持つ子供に根源への道を託すのである.

魔術師の体液には本人の魔力だけではなくそれらの資質も含まれている事に注目したカストルは他者の一部を吸収し自身を成長させる事を思いついたのである.

当然,それらの体液などを入手するには普通の方法では難しい.そこでカストルは他人へと変身する魔術も同時に開発していた.

これらの魔術を開発したことによりカストルは様々な人物の資質を吸収し自身の力へと変えていった.ある時は冬木のオーナーの妻に化け,ある時は名門魔術師の息女に化け,それぞれ優秀な魔術師の資質を吸収してきた.





そんなカストルは今,これまでと同じ様に相手に近づきやすい存在である少女に化けターゲットの傍に居る.
少女の顔でにっこりと微笑んでやれば面白い様に顔を赤くし慌てる.いくら優秀な素質を持った魔術師であっても結局は男であり,親しい異性に接されただけですぐに油断する.
この藤丸立香という魔術師も同じだ.この少女の身体で魔力を吸い取って彼の持つ令呪,力,すべてを奪えばいい.
マシュ・キリエライトに化けた男は立香の背中を見ながらぐにゅりと自身の豊かな胸を揉んだ.

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